第501章 人類の限界を超えて

「それに、彼らは人体実験も行っている」と席牧白は低い声で言った。

これについて、夏星河は驚かなかった。

「そうだろうと思っていた」

「でも、あなたは知らないだろう。彼らはたった一人の人間だけを研究している。ついてきて」席牧白は彼女を引っ張って別の実験室へ向かった。

ここには実験室が多すぎて、席牧白は彼女を連れてかなり歩いてようやく到着した。

そして彼が彼女を連れて行った実験室は、夏星河が監視カメラで見つけた医学実験室だった。

ドアを開けると、夏星河は案の定、実験台に横たわる女性を見た。

彼女の体には機器が無数に繋がれており、まったく動かず目を閉じたまま、まるで息絶えているかのようだった。

しかし、隣の心電計はゆっくりと波打っており、彼女がまだ生きていることを示していた。

席牧白は淡々と言った。「ここの資料を大まかに調べたところ、研究データは全てこの女性のものだった。聞いてみたが、彼らは確かにこの女性を研究していて、もう何年も続けているそうだ」

夏星河は驚いて彼を見た。「何年も？」

「そうだ」席牧白は暗く頷いた。「しかも研究データを見る限り、この女性は非常に特異だ。脳細胞が異常に活発で、新陳代謝も通常の人間より活発、細胞の生命力も強い」

夏星河はすぐに席牧白の言わんとすることを理解した。

彼女は直接尋ねた。「つまり、彼女は普通の人間ではないということ？」

「彼女の状態を見る限り、確かに各種データは人類の限界を超えている。もちろん、世界にはこういう人間がいるかもしれないが、極めて稀だろう」

夏星河は何かを思い出したように推測して言った。「もしかしたら、彼女はエネルギーブロックと関係があるのかもしれない」

席牧白は一瞬戸惑い、不解そうに尋ねた。「なぜそう思う？」

夏星河は真剣な表情で彼を見つめて言った。「エネルギーブロックを持つ人は皆、並外れた人間だと感じているから」

今度は席牧白も納得した様子だった。

夏星河は分析するように言った。「私の母は非常に優れた女性で、私の全ては彼女から教わったもの。それに夏夢の父は、メモリーセルの研究までできた。彼らの能力は人類の限界を超えていて、私はずっと彼らの出自が並大抵のものではないと疑っていた…」

夏星河は心の中の推測を明確には言わなかった。

しかし席牧白はすでに理解していた。