彼は簡素な迷彩シャツ、軍用ズボンと軍靴を身につけ、まるで軍人のようだった。
彼が入ってきた瞬間、夏星河たちは彼から放たれる強大な気配を感じ取った。
今回の作戦のため、彼は隠れやすい迷彩服に着替えていた。
しかし思いがけないことに、服を着替えただけで、まるで本物の軍人のように、威厳に満ちていた。
もし彼が軍に入っていたら、フィリップに劣らない人物になっていただろう。
なぜなら、今日の作戦指揮も見事にこなしたからだ。
当時、山禾たちは皆驚いていた。
この人はどうしてこんなに異常なのか、商才があるだけでなく、軍隊まで指揮できるなんて。
夏星河だけが知っていた、これは全て幼い頃からの薫陶の結果だということを。
しかし彼女も認めざるを得なかった、こんな彼はとてもかっこいいと。
「ついてこい」夏星河の一瞬の心ここにあらずな様子に気付かず、席牧白は入ってくるなり彼女に言った。
夏星河は何も聞かずに、立ち上がって彼について外に出た。
外には装甲車が停まっていた。
席牧白は彼女を車に乗せ、すぐに出発した。
「どこへ行くの?」夏星河は不思議そうに尋ねた。
席牧白はハンドルを操作しながら言った:「IV組織の基地だ。俺は何か見つけた。」
「何を?」
「金属エネルギーだ。」
夏星河は固まった。IV組織がなぜ持っているの?
封少煌はずっとエネルギーブロックを探していた、もしかしてIV組織と関係があるの?
何か秘密を発見しそうな気配に、夏星河は急に期待に胸を膨らませた。
……
基地は完全に制圧され、外には多くの軍隊が警備についていた。
しかし席牧白は夏星河を連れて、いとも簡単に中に入ることができた。
実際に基地の中に入ってみて、夏星河はようやくその広大さを知った。
ここは全て最先端の設備で、まるで映画に出てくるような科学実験室だった。
銃撃戦を経験したにもかかわらず、ここはまだかなり良好な状態を保っていた。
ただし床のあちこちに血痕が残っていた……
死体は既に全て片付けられていた。
夏星河は冷静な表情で席牧白の後ろについて行き、彼と共に実験室に入った。
入るなり、夏星河は中央に大きな透明な密閉カバーがあるのを見た。カバーの中では炎が踊っていた。
そして燃えているものは、なんと黒いエネルギーブロックだった!