「全力を尽くしてくれればいい。少なくとも5年の執行猶予を得られるようにして。」
なぜかわからないが、夏星河は封少煌が死にたくない理由が他にあるような気がした。
でも、それは彼女には関係なかった。
「林家の弱みも提供してくれるの?」夏星河は問い返した。この言葉で、彼女が取引に応じる意思を示したのは明らかだった。
封少煌は笑いながら頷いた。「ああ、私は林芸の弱みを握っている。あなたが承諾してくれれば、何でも協力するよ。」
「いいわ!私は全力を尽くすけど、できる範囲でしかないわ。」
「その言葉だけで十分だ。」封少煌は信頼を込めて言った。
夏星河は思わず言った。「あなたって本当に分からない人ね。私たちがあなたを入れたのに、今は私だけを信用して。私たちのことを憎んでいると思ってたわ。」
「勝者と敗者、負けた以上は言い訳できない。」封少煌は淡々と答えた。「敵同士とはいえ、協力し合うことは可能だ。君たちが私を助けてくれるなら、私も拒む理由はない。」
「邪道に走らなければ、あなたは素晴らしい人物になれたはずよ。」
封少煌は笑った。「それは褒め言葉かい?」
「事実を言っただけよ。あなたの要求は承諾したわ。今度は知っていることを全部話して。」
封少煌も率直に、知っていることをすべて話し始めた。
「私が言っていたものは、黒い鉱物質のエネルギーだ。莫大なエネルギーを秘めているが、明らかに誰も見たことがない。IV組織の首領がそれを探している。彼も一つ持っているはずだ。私が知っているのはこれだけだ。君たちが持っていることを彼に知られないように気をつけた方がいい。命を狙われることになるからな。」
夏星河がY国に行ったことは、席家以外誰も知らなかった。
フィリップたちも情報を漏らすはずがない。
だから封少煌はまだ知らないのだ。IV組織は彼女の手によって壊滅したことを。
彼女はそのエネルギーブロックまで持ち去ったのだ。
「その情報は私には役に立たないわ。私は持っていないから。」夏星河は平然と嘘をついた。「提供できる情報はそれだけ?」
封少煌は肩をすくめた。「ああ、君の役に立たないとは思わなかったな。」
実際には少しは役立つ情報だった。
少なくとも、今後の行動はより慎重にして、何も漏らさないようにしなければならない。