第578章 心臓を閉じ込める檻

彼がいつ出て行ったのか、夏星河にはわからなかった。

実際、彼女は既に彼の存在を忘れていた。

食事を済ませると、夏星河はすぐに仕事に戻った。

最近、彼女は材料を探し続けており、ほぼすべての資料を調べたが、まだ求めているものが見つからなかった。

そして見つかった最も適したナノ材料は、炭素だった。

しかし炭素材料にも欠点があり、効果を得るには他の材料と組み合わせる必要があった。

そうすると、重量がオーバーしてしまう。

夏星河が必要としているのは、ナノ材料にした時点ですべての要求を満たす材料だった。

しかし要求は多く、品質の問題、重量の問題、電気伝導性、熱特性、さらに血液との適合性など、多くの特性が求められていた……

そのため、このような材料を見つけるのは非常に困難だった。

世界中を探しても存在しないだろう。もし存在していれば、この世界はとっくに大きな変革を遂げているはずだ。

夏星河はマウスを置き、疲れた目をこすった。

そして資料の検索を続けようとした時、彼女の頭に突然閃きが走った!

「この世界に存在しない材料」という言葉を思い出し、彼女は突然エネルギーブロックを思い出した。

あれは、見たことのないものではないか?

しかも超軽量で、レンガほどの大きさのものでも、手に持つと軽々と、まるでプラスチックのようだった。

重要なのは、密度が非常に高く、わずかな量で大きな熱量を生み出せることだ。

もしかしたら使えるかもしれない!

そう思うと、夏星河は非常に興奮し、すぐに実験に取り掛かった。

夏星河がエネルギーブロックを取り出すと、実験棟の最も優秀な科学者たちは驚いた。

「夏さん、これは何ですか?」

彼らはこのようなものを見たことがなく、黒光りしていて、金属のようでもあり、そうでもないようだった。

「これは特殊な材料です。どうやって見つけたかは気にしないでください。また、漏らさないでください。あなたたちのためです」と夏星河は淡々と言った。

科学者たちは頷いた。「ご安心ください。私たちは一切情報を漏らしません」

実際、夏星河が言わなくても、彼らは漏らすつもりはなかった。

実験棟で働く人々は全員、機密保持契約に署名しており、いかなる実験についても一切の情報を漏らすことはできなかった。