第582章 陸祈の医術は素晴らしい

……

手術の日、空から小雨が降り続いていた。

医学実験棟全体が静まり返っていた。

黒服のボディーガードが各入口を厳重に警備し、誰も侵入させなかった。

席家の人々と夏星河を含め、全員が手術室の外で待っていた。

10時間もの間、誰一人として離れなかった。

誰も悲しみや不安を見せず、全員が冷静に、落ち着いて手術の結果を待っていた。

手術のリスクは大きかったが、彼らは必ず成功すると信じていた。

なぜなら、中にいるのは他でもない、今まで彼らを失望させたことのない席牧白だったから。

今回も、きっと彼は彼らを失望させないはずだと。

そして案の定、彼は失望させなかった！

手術は大成功で、席牧白は乗り越えた。彼は彼らを失望させなかった！

「すべて順調でした。手術は完璧でした」陸祈は興奮してこの二言だけを言った。

そしてこの二言だけで、夏星河たちは喜びの涙を流すのに十分だった。

夏星河も確かに涙を抑えきれず、口元にも笑みがこぼれていた。

彼女は滅多に感情を失わない人だったが、これほどの反応を見せるということは、相当感動していたということだ。

しかし、運び出されてきた席牧白を見た時、彼女は笑顔を失った。

手術を終えたばかりの席牧白は、紙のように青ざめており、血の気が全くなかった。

息も依然として微かで、まるでこの手術が彼を良くするどころか、かえって状態を悪化させてしまったかのようだった。

他の人々も彼の様子を見て、非常に心配そうだった。

陸祈は説明した：「大きな手術でしたから、終わった直後は当然状態が悪くなります。でも心配いりません。これからは彼の体調は良くなる一方です」

「陸祈、ありがとう、本当にありがとう」席の母は涙を流しながら感謝の言葉を述べた。

「陸祈、さすがは腕の立つ医者だ、すごいぞ！」席牧楠も彼に親指を立てた。

他の人々も同様に感謝し、様々な賞賛の言葉を送った。

陸祈は謙虚に笑って言った：「私にも功績はありますが、夏さんがいなければ手術は成功しなかったでしょう。彼女の功績も大きく、今回は本当に彼女のおかげです」

そう、今回は夏星河のおかげだった。

全員が夏星河の方を見たが、彼女は物思いに耽るような表情で席牧白を見つめていた。

「お兄さんの奥さん、どうしたの？」席牧楠は不思議そうに尋ねた。