第581章 世界一強靭な心臓

夏星河は断固とした態度で言った。「でも、私が行かなければ、私たちは皆危険な目に遭うわ」

「……」

彼女の言うことは正しかった。林康が当選すれば、夏星河を含め、彼らは誰も逃げられない。

「やはり行かせるわけにはいかない」席おじいさんは依然として拒否した。

「確かにお前は賢くて、能力もある。だが、結局のところ女なのだ。お前が行って何ができる?この選挙は國の大事だ。行ったところで何もできないだろう」

夏星河は頷いた。「分かっています。でも、試してみる価値はあります。もしかしたら、彼らに対抗する機会が見つかるかもしれません」

「そんなに簡単に見つかるなら、今まで待つ必要があったのか?」

「どんな殺人事件でも、どんなに緻密な犯人でも、必ず抜かりがあるものです。林家は必ず数々の罪を重ねているはずです。彼らが必ず隙を見せると信じています。ご老人、私は潜在的な危険が好きではありません。現状を知った以上、傍観者として運命に身を任せることはできません」

夏星河の澄んだ黒い瞳は非常に断固としており、声にも少しの恐れもなかった。

席おじいさんは溜息をつき、「実は、この情報を教えたのは、お前に心構えをしてもらい、将来気をつけてほしかったからだ。お前は賢いから、きっと危険を避ける方法を知っているはずだ。だが、まさかお前が自ら危険に立ち向かおうとするとは思わなかった」

「避けられない危険もあります。それは解決するしかありません」夏星河は淡々と答えた。

「お前に勇気があることは分かっている。だが、もし何かあったら、私たちはどうして安心できるだろうか?」

「そうよ、お姉さん。今回のことは関わらないで。私たちが何とかするから」

席牧楠たちは様々な説得を試みたが、夏星河は首を振り続けた。

「もし皆さんが解決できるなら、私は手を出しません。でも、このような状況では、皆さんは何もできないことを知っています」

席おじいさんたちの表情が一瞬で暗くなった。

その通りだった。このような敏感な時期に、彼らは逆に何もできない。

選挙は國の大事だ。誰が國の大事に影響を与えられるだろうか?

夏星河にもできない。ただ、彼女は身分が自由だから、運を試してみることができるだけだ。