「そういうことは全部考えたけど、陸祈一人に全ての希望を託すわけにはいかないわ。チャンスとリスクは表裏一体よ。リスクがあるからって、こんな良い機会を逃すわけにはいかないわ。それに、私が行けば林家に近づくチャンスにもなるし、彼らの弱みを掴めるかもしれない」
確かに、これは林家に近づく絶好の機会だった。
そうでなければ、夏星河は彼らに近づくことはできなかっただろう。
林家は今、手に入れようとしている至高の栄誉のために、とても慎重になっていて、隙を見せることは一切なかった。
このまま手をこまねいていては、損をするのは彼らの方だけだった。
だから、将来の不測の事態に備えて、積極的に動く必要があった。
「わかった、行きなさい。でも必ず気をつけるんだよ」席おじいさんは彼女に念を押した。