第588章 大統領府に住む

一目で見渡すと、威風堂々とした建物が多く並んでいた。

至る所に兵士が警備に立ち、軍隊も巡回していた。

車が最後の検問所を通過すると、夏星河は道端で待っていた陸祈の姿を見つけた。

車の中の彼女を見るなり、陸祈は笑顔を見せ、車が停まった瞬間に自ら前に出て彼女のためにドアを開けた。

陸祈に同行していた兵士は不思議そうだった。この女性は特別な身分なのだろうか?

陸しゅちょうの孫で、名高い陸いしゃが自ら彼女のためにドアを開けるなんて。

「来たんだね」陸祈は彼女のためにドアを開けながら、笑顔で声をかけた。

夏星河は頷き、身を屈めて車から降りた。

陸祈は無駄話をせず、すぐに言った。「行こう。君の住まいに案内するよ」

夏星河の荷物は、当然兵士が持っていた。

陸祈は夏星河を案内しながら、この場所について説明した。

「あそこの白い建物が医学棟だよ。その隣は寮棟。あそこに見える白い別荘は、大統領夫妻の住まいなんだ……」

夏星河は軽く頷いたが、この場所のすべてに対して、彼女の目には何の動揺も見られなかった。

陸祈は彼女の反応を見て、少し挫折感を覚えた。「ここに対して少しも好奇心や感動がないの?」

彼でさえ、初めてここに来た時は、この場所のすべてに衝撃を受けたのに。

夏星河の精神力は彼以上で、まさに喜怒哀楽を表に出さないタイプだった。

「ここは確かに広くて、驚きますね」夏星河は淡々と答え、この場所への感動を表現した。

でもその感動は……あまりにも控えめすぎる!!

陸祈はもう諦めた。夏星河はこういう性格で、何に対しても平然としていられるのだ。

彼らはすぐに寮棟に到着した。

寮と言っても、実際にはマンションのようなものだった。中の各部屋は美しく装飾され、一人一部屋が与えられていた。

各部屋は1LDKだったが、広さは十分で、一人が快適に暮らすには十分な空間があった。

また、男女の寮は分かれていて、建物は繋がっているだけだった。

陸祈は夏星河を彼女の部屋に案内し、落ち着かせた後、食堂で食事をしようと提案した。

「ここの食堂の料理はレストラン並みに美味しいよ。行って試してみない?」

夏星河は首を振って断った。「今は食事をする気分ではありません。これからどうすればいいですか?」