「そうであってほしい……」大統領夫人が言い終わるや否や、大統領の電話が鳴った。
秘書からの電話で、席家の席牧白が面会を求めているとのことだった。
大統領は驚いて、「席牧白?」
「はい、もしお会いいただけないなら、自分が何をするか分からないと言っています」秘書は不安げに報告した。席牧白は明らかに大統領を脅していて、随分と大胆だった。
彼の特別な身分がなければ、秘書は直接軍隊を派遣して彼を逮捕させようと思ったほどで、取り次ぐなど考えもしなかっただろう。
大統領はそれを聞いて、やはり驚いた様子だった。
席牧白が自分を脅すとは……
しかし怒る様子もなく、何かを思い出したのか、すぐに「会わせなさい」と言った。
「承知いたしました」
「誰が来るの?」大統領夫人が不思議そうに尋ねると、大統領は溜息をつきながら答えた。「席家の席牧白だ」