「童嫣を訴えるのは当然のことよ。嫣兒は今回本当にやりすぎたわ」
沈茹は急に悔しくなった。「お姉様、嫣兒は大したことはしていないわ。あの女が気に入らなかっただけで、少し懲らしめただけよ。本当に何かをしたわけじゃないのに。彼らはなぜこんな些細なことにこだわるの?明らかに童家と沈家を軽視しているじゃない」
大統領夫人は眉をひそめた。「こんな時になっても、まだ子供を甘やかすの?これまでの甘やかしすぎが、今回の分別のない行動につながったのよ。もし今回、彼女に人を引き渡すよう強要しなかったら、結果はどうなっていたか分かる?」
結果は夏星河が地下室に閉じ込められ、飢え死にすることだった。
そして死んでも、誰も発見できなかっただろう。
これは既に重大な殺人行為だった。
人が適時に救出されたからといって、この行為が存在しなかったことにはならない。
沈茹は姉が常に正直であることを知っていた。彼女は突然目を赤くし、悔しそうに泣きながら訴えた。
「お姉様、私も嫣兒が今回やりすぎたことは分かっています。彼女自身も後悔していて、昨夜は怖くて眠れず、今日も元気がありません。本当に反省しているから、許してあげたいんです。それに、まだ若くて分別がないんです。一度の過ちで彼女の人生を台無しにはできません…」
案の定、彼女が泣きながら訴えると、大統領夫人の心は少し柔らかくなった。
「本当に反省しているのならいいけど。でも席家が訴えると言っているこの件は、私にもどうしようもないわ。訴えを取り下げてもらうようなことは、私がすべきことではないし…まあ、連絡はしてあげるわ。あとは自分たちで話し合って。訴えを取り下げてもらえるかどうかは、童嫣次第ね」
沈茹は急に喜色を浮かべた。「はい、私たちで会いに行きます。お姉様、ありがとうございます。お姉様が私たちの味方をしてくれなかったら、嫣兒はどうなってしまうか」
大統領夫人は彼女を見て、なぜか頭が痛くなった。
天子も法を犯せば庶民と同罪と言うが、実際に天子が罪を犯した時、皇帝も困るものだ。
そのため大統領夫人にできることは人としての務めを果たすことだけで、事の成り行きについては、彼女にもコントロールできないし、すべきでもなかった。
大統領夫人はすぐに席牧白と連絡を取り、穏やかな口調で、言葉も巧みに選んで話した。