童家と沈家を利用して林家と対抗するには、席おじいさんが出てくる必要がある。
彼は年を取って引退しているが、席家の精神的支柱だ。
そして席家の最高権威者でもある。
だから沈家と童家への対応は、彼が出るのが一番いい。
沈茹の目論見は、夏星河にはとっくに予測されていた。童家と沈家のおじいさまたちを説得役として立てれば、席家は譲歩すると思っているのだ。
ふん、席家は確かに譲歩するだろうが、条件付きだ。
それに席家のおじいさんは、彼らが思うほど簡単には動かない。
さらに彼らが知らないのは、彼らの行動のすべてが夏星河たちの計算の内だということだ。
そして林家も、明日から彼らの運命が衰退へと向かい始めることを知らない!
……
この夜、A市の数つの名家は、童嫣の件をどう解決するか密かに話し合っていた。
童嫣は、これらの名家を結ぶ絆だった。
彼女一人で複数の名家を繋ぎ合わせることができるため、A市どころか全国一の令嬢と呼ばれるのも決して誇張ではない。
今や彼女が事を起こし、各家族が彼女のために動き出している。
この特権は彼女だけが享受できるものだった。
そのため、皆が彼女のために解決策を考えている間も、童嫣は心配一つなくぐっすりと眠れた。
そもそも彼女は自分の運命を心配したことなど一度もない。
多くの人に心配してもらえる程の幸運な身分なのだから、彼女は楽しく幸せであればそれでいい。
しかし翌日、童嫣は不本意ながらも沈家と童家のおじいさまたちに連れられて夏星河たちに会いに行くことになった。
行かざるを得なかった。
もし行かなければ席家は告訴を取り下げず、彼女の評判に傷がつく。
評判が傷つくことは構わないが、家族が許さないのだ。
童嫣は我儘だが、時には言うことを聞かなければ長老たちが可愛がってくれ続けないことも分かっていた。
だから彼女は行くことにした。
ただし彼女は誓った。将来機会があれば、必ず徹底的に仕返しをしてやると!
童嫣は、自分が謝罪に来ることで席家と夏星河は光栄に思い、すぐに告訴を取り下げるだろうと思っていた。
しかしすぐに彼女は、その考えがいかに甘かったかを知ることになる!
……
広々とした応接間には、席家、童家、沈家のおじいさまたち、そして夏星河、童嫣、沈茹が座っていた。