第625章 大事を成し遂げに来た

大統領夫人は恥ずかしそうに頷いた。

沈家は身内を庇うことで有名で、特に彼女の父親は、是非を問わず身内を庇う人だった。

童嫣は彼の唯一の孫娘で、命を懸けても彼女を守るだろう。

だからこそ童嫣はそれほど恐れを知らないのだ。

大統領夫人が心配しているのは、沈家と童家が決して童嫣を引き渡さず、席家と争いになり、すべてが収拾がつかなくなることだった。

彼女の夫は板挟みになって苦しむだろう。

大統領とはいえ、各勢力のバランスを取らなければならず、さもなければ国全体が混乱してしまう。

しかも今は体調が悪いので、彼女はこれらの問題で彼の健康に影響が出ることを望んでいなかった。

大統領は彼女の考えを理解し、慰めるように言った。「心配するな。彼らは騒ぎ立てることはできないし、私も死ぬことはない。」