第679章 賀蘭祺のその下心

夏星河が直ちに人を探すことを提案しても、彼らはすぐに承諾した。

彼らは、どんな無理な要求をしても全て受け入れてくれるような印象を与えた。

うかつな人なら、彼らを素晴らしい主人だと思うだろう。また、自分が本当に彼らの貴賓だと思い込むだろう。

しかし夏星河はそうは考えなかった。

賀蘭一族はただものではない、人としての振る舞いは当然隙がないはずだ。

彼らの熱意と礼儀正しさだけで自分が本当に貴賓だと思い込むのは、大きな間違いだ。

慎重に対応することでしか、彼らのような人々に上手く対処できない。

だから夏星河は性格が冷淡でも、彼らへの対応は上手くこなした。

一連の会話を通じて、双方とも相手の本心を見抜けなかった。

最後に人探しの件について話し合いを終え、夏星河は辞去しようとした。

賀蘭父子がどれほど引き止めようとしても、夏星河は彼らの好意を断った。彼女はホテルに泊まることを主張し、賀蘭父子は仕方なく彼女の選択を尊重するしかなかった。

賀蘭祺は更に自ら彼らをホテルまで送った。

彼は熱心に最高のホテルを手配し、全てを完璧に世話してから去っていった。

バカでも分かるほど、彼は意図的に夏星河の機嫌を取っていた。

賀蘭祺が去るとすぐに、山禾は嘲笑うように言った：「こいつは腹黒いな。私たちが彼の意図を見抜けないと思ってるのか？」

「きっと私たちの星河が綺麗だから、彼女に気があるんでしょ！」黎亞も軽蔑して言った。

「これからは彼に気をつけなさい。善人であろうとなかろうと、距離を保つべきよ。」山禾は夏星河に忠告した。

黎亞も真剣に注意を促した：「甘い言葉に騙されないでね。」

夏星河は少し可笑しく思った。「私が騙されると思う？」

「……」皆は一瞬黙り込んだ。

夏星河はとても賢く、自制心も強いので、騙されるはずがない。

それに、彼女にはすでにあれほど優秀でハンサムな席牧白がいるのだから、他の男性など目に入るはずがない。

確かにこの賀蘭祺も、家柄も容姿も悪くない。

でも席牧白には及ばない！

席牧白の夏星河への深い愛情だけでも、他の男性には真似できないものだ。

だから彼らの心配は全く無用だった。

夏星河は誰よりも慎重に物事を進める人なのだ。

そして賀蘭祺の思惑も、結局は無駄になるだけだ！