第314章 俞さんの弟が恋をしているようだ

彼女も飴を食べたいという意味だった。

ちょうどお菓子の棚に来たところで、蘇言深は手に取ったロリポップを彼女に渡した。

飴をもらった小さな女の子は満足げで、ミルクのことを忘れ、飴を持って急いで走り出した。「うれしい、飴を食べる」

体が太っていて、歩くとフラフラして、あまり上手く歩けない。

蘇言深は眉をひそめた。朝見た時はこんな様子ではなかったのに……

そのとき、蘇晴許の声が耳に入ってきた。「そろそろおむつを替えた方がいいんじゃない」

これも母親としての潔癖症だった。

一方、俞小滿は必死になって探し回り、店員に子供を見かけなかったか尋ねていた。

「ママ」

甘えた声で「ママ」と呼ばれ、俞晚晚の喉元まで上がってきた心臓が一気に落ち着いた。

振り返ると、小さな女の子の嬉しそうな笑顔が見えた。

叱りの言葉が口まで出かかったが、飲み込んで、すぐに駆け寄って抱き上げた。「勝手に走り回っちゃダメよ」

彼女は端まで歩き、買おうと思っていた粉ミルクのブランドの棚まで回った。

……

会計の時、レジ係が俞晚晚の商品を精算し、俞晚晚が支払いを待っていると、店員がカートの中の香香を見ていることに気付いた。

俞晚晚はそこで初めて香香が手にロリポップを持っていることに気付いた。深く考えずに、小さな女の子がスーパーで勝手に飴を取るのは初めてではないと思い、呆れて言った。「香香、ママが飴を食べちゃダメって言ったでしょう」

飴を取ろうとすると。

香香は警戒心が強く、すぐに胸に抱きしめ、唇を尖らせてぶつぶつ言った。「おじさんがくれた」

仕方なく、買うことにした。

「あれ?香香のリボンが見つかったの?」

スーパーを出ると、俞小滿は新しい発見をしたかのように、香香ちゃんの頭のリボンクリップを指差して尋ねた。

俞小滿が言わなければ、俞晚晚は小さな女の子の頭のリボンがなくなっていたことに気付かなかった。朝、出かける時に自分で可愛い花花を付けたがって、後で車の中で髪を整えた時にはもうなかったような気がする。

「おじさんが付けてくれた」珍しく飴を食べながらも注意を他に向けられる香香が彼らと会話をした。

そう言いながら小さな手でリボンに触れた。