第315章 お姉さんが夢に現れて暑いから半袖を着たいと言った

許昭は蘇言深に俞晚晚のことを思い出させてしまうのを恐れて、言うべきかどうか迷っていた。案の定、彼の心配は的中した。

彼は少し後悔した。

蘇言深が口を開いた。「その女性が何をしている人なのか注意して見ておいてくれ。ただし、気付かれないようにな」

許昭は頷いた。「分かりました」

彼は蘇言深が俞子卿のために、そして俞晚晚に代わって俞子卿のために確認したがっているのだと理解していた。

……

普段なら、キャンディーのようなお菓子は香香に一切触れさせない俞晚晚だったが、今日は例外だった。

仕方がなかった。すでに手に入れてしまったものを無理やり取り上げたら、休みなく一時間以上泣き続けることになるだろうから。

小さな子はチャイルドシートに座り、手に持っていたキャンディーは唾液で溶け始めていた。小さな太った手がべたべたになり、彼女は嫌そうな顔をして「ママ、拭いて…」

手を広げた。

俞晚晚はこの機会に彼女からキャンディーを取り上げようと試みた。「じゃあ、もうキャンディーはやめにする？」

手を伸ばそうとしたが、小さな女の子は全くチャンスを与えなかった。「いやだ」

すぐにキャンディーを胸に抱き込んだ。

服にまで付いてしまって...俞晚晚は少し取り乱した。「一体誰のバカがこの子にキャンディーをあげたのよ！」

香香ちゃんが自分で取れるはずがない。

一方、俞小滿は監視員のように大声で俞晚晚を叱りつけた。「おば、悪い言葉を使っちゃダメ！」

俞晚晚は急いで謝った。「ごめんなさい、ごめんなさい。悪い言葉を使うのは良くないわね」

その言葉が終わらないうちに、香香が「バカ、バカ…」と真似し始めた。

俞晚晚は「……」

この食いしん坊の子は、良いことは覚えないのに、悪いことはすぐに覚えてしまう。

子育ては大変だ。特に二人の子どもを育てるのは。

俞子卿はバックミラーで俞晚晚の取り乱した様子を見て、面白そうに首を振った。「やはり黄おばさんに来てもらったほうがいいんじゃないか」

俞晚晚は躊躇なく断った。「必要ないわ」

彼女は自分がまだ生きていることを、これ以上多くの人に知られたくなかった。

もはや蘇言深が何かするのを恐れてのことではなく、過去の自分との繋がりを持ちたくなかったからだ。

俞子卿はもちろん彼女に無理強いはしなかった。