402.本当に役立たずね

しかし、折悪しく喬寵兒は足を捻挫し、喬盛が投げたコップを避けることができなかった。

喬栩は事態を察知し、喬寵兒を引っ張ったところ、偶然にも喬盛の手から放たれたコップが喬栩の顔面に直撃した。

喬栩は肌が白いため、その一撃で即座に大きな赤い痕が残り、その痛みで顔が歪んだ。

この出来事に、喬盛と蘇素琴は呆然となり、居間は一瞬にして静まり返った。

「大丈夫？栩栩？」

喬寵兒は急いで喬栩の前に歩み寄り、彼女の顔の傷を確認した。

「大丈夫よ」

ただ、コップが硬く、喬盛が投げた力も相当なものだったため、顔に傷が残るのは確実だった。

喬栩は痛む頬を撫でながら、喬盛に冷たい視線を向けた。

喬盛は今回、喬栩に頼み事があって来たのであり、彼女と言い争うつもりは全くなかった。喬寵兒というあの賤女がいなければ、こんなことにはならなかったのに。

「これは...これは私のせいじゃない、喬寵兒が先に手を出したんだ」

喬盛は落ち着かない様子で、喬栩の冷たい視線を見ながら焦って説明した。

「兄として妹に手を上げるなんて、女性に対してしか優越感を感じられないのね」

そう言い放つと、喬栩は喬盛たちを相手にせず、陳ママに打撲薬を持ってこさせて階段を上がっていった。

喬栩がそのまま立ち去るのを見て、蘇素琴は焦り、急いで喬盛の服を引っ張って、喬栩を呼び止めるよう促した。

喬盛は蘇柔という娘を本当に大事に思っていたため、その場では体面も顧みず、急いで声をかけた。「喬栩、待ってくれ」

以前の喬栩なら、少なくとも振り返って一瞥くれただろうが、今回は彼が呼びかけても、振り返るどころか、足を止めることすらなかった。

そうして、彼女が去っていくのを目の当たりにした...去っていった...

目の前のこの男女が無視されるのを見て、喬寵兒は溜飲が下がった。使用人に居間の掃除を命じ、自身はテレビの前に優雅に座り、お茶を持ってこさせてゆっくりと味わい始めた。

そして喬おじいさまの長男である喬盛は、まるで歓迎されない部外者のように、使用人たちさえも相手にしようとしなかった。

「盛さん...」

蘇素琴は心が崩壊しそうだった。喬盛が林靜姝と離婚してから、自分の立場が上がったと思っていたが、そうではなかった。おやじの誕生祝いに連れて行かれても、人々の嘲笑と侮辱を受けるだけだった。