456.様子がおかしい陸社長

担当者が後から駆けつけ、陸墨擎を見た瞬間、表情が凍りつき、急いで彼の前に歩み寄った。「陸さま、大丈夫でしょうか？」

担当者は緊張した様子で、もし陸墨擎が自分の管轄区域で何か問題が起きたら、大変なことになると思った。

陸墨擎の肘には、いつの間にか深い切り傷ができており、今も血が流れていた。

「陸さま、怪我をされています。病院にお連れしましょう」

「必要ない」

陸墨擎は冷淡に答えた。肘の傷が骨まで見えるほど深かったにもかかわらず、眉一つ動かさなかった。

さりげなく袖を下げると、奥さんと子供を探しに向かった。

商業施設はすでにその狂人によって大混乱に陥っており、多くの人が切りつけられ、一人が死亡するほどで、血が床一面に広がっていた。

警察はすでにその狂人を取り押さえており、現場の秩序も少しずつ回復していた。

「栩栩」

喬栩は陸墨擎に背を向けて喬一を落ち着かせていたが、陸墨擎の緊張した声を聞いて、素早く振り返った。

陸墨擎はすでに母子の傍らにしゃがみ込み、長い腕で彼女の体を抱き寄せ、優しく背中を叩いた。「大丈夫だ、すべて解決した」

喬栩は頷き、陸墨擎の顔色が悪いのを見て、彼を上から下まで注意深く観察し、尋ねた。「あなたは？あの人に切られてないの？」

喬栩が自分のことを心配してくれているのを見て、陸墨擎は心の中で喜び、思わず口角が上がった。「僕のことを心配してくれているの？」

喬栩はその質問に一瞬言葉に詰まったが、表情は平然としたまま答えた。「あなたが怪我をしたら、明日喬一の運動会に付き添えないでしょう」

喬栩は自分を心配していることを認めなかったが、陸墨擎は先ほどの彼女の目に浮かんでいた心配そうな眼差しを思い出し、心の中で抑えきれないほどの喜びを感じた。

しかし口には出さず、「心配しないで、大丈夫だ」と言った。

先ほどのハラハラする出来事を経験し、スーパーの人々も次々と帰っていき、彼らも買い物をほぼ済ませていたので、会計を済ませて帰ることにした。

喬一もスーパーでの出来事に怯えており、家に帰ってからも怖がって喬栩から離れようとしなかった。

一時間以上かけてようやく喬一は眠りについた。

「もう遅いから、早く寝なさい。私は出ていくよ」

喬一に布団をかけ終わったところで、喬栩は陸墨擎がそう言うのを聞いた。