ポッチャリくんは必死に母親の手を払いのけ、ペラペラと長々と話し続け、母親を一瞬で呆然とさせた。
我が子の純真なデブ兄さんを呆然と見つめ、しばらく言葉が出なかった。
喬栩も呆気に取られた。まだ三歳の子供が、密かに妹を交換して嫁にもらう約束までしているなんて?
純粋な心を持たない陸社長だけが、心の中で默默とデブ兄さんを応援し、さらなる努力を期待していた。
ポッチャリママはようやく我に返り、急いでポッチャリくんを引き寄せて謝罪の言葉を並べた。
「申し訳ございません、陸さま、陸奥様。この子は本当に躾が必要で、帰ったら厳しく教育いたします……」
陸墨擎はデブ兄さんの言葉はとても良かったと言いたかったが、奥さん思いの陸社長は妻の前でそれを表現する勇気がなく、ただ默默とデブ兄さんに賞賛のまなざしを送るだけだった。
喬栩は今となってはポッチャリママにどう返事をすればいいのか本当に分からなくなった。
気にしないで謝らなくていいと言えば、陸墨擎との第二子を承諾したように聞こえてしまう。
真剣に取り合うのは、なおさら良くない。
三歳の子供は何も分からず、ただ妹を嫁にほしいだけなのに、彼女がそれを気にして咎めるのは、できることではなかった。だから、ただぎこちなく微笑みながらポッチャリママを見つめるしかなかった。
ポッチャリママは喬栩がただぎこちなく笑っているのを見て、さらに困惑した表情を浮かべた。
「どうしたんだ、奥さん?」
ちょうどその時、喬栩の左前方から心地よい声が聞こえてきた。ポッチャリママは救世主を待っていたかのように、すぐに安堵のため息をついた。
男は彼女の後ろにゆっくりと歩み寄り、優雅な仕草で彼女の横に立ち、一言一行に無言の保護が込められていた。
「またこの悪ガキが何か迷惑をかけたのか?」
ポッチャリママは自分の夫を無力な目で見つめ、再び喬栩に向かって気まずそうに微笑んだ。
他人の前で、自分の息子が人の両親に子作りを催促しに行ったなんて言えるだろうか?
全て此のデブ親父のせいだ。普段から息子に変な考えを吹き込んでいるんだから。
家で恥をかくのはまだいいが、今や他人の前で面目を失うところまで来てしまった。
「あなたの息子が人の奥さんを貰おうとしているのよ」
彼女は歯を食いしばって小声で言った。