第45章 千本の矢

翌日の早朝、韓森はシェルターワールドに入り、自室の銅牙獣が全身紫がかった赤色になり、まるで紫銅像のようになっているのを見て、内心喜んだ。銅牙獣がもうすぐ神血生物に昇進するだろうと分かったからだ。

今や完全に紫がかった赤色になっていないのは、尻尾の先端だけだった。恐らくこの1、2日のうちに、この銅牙獣は神血生物に昇進するだろう。

何度も観察した後、韓森はようやく外出して神射組の陣地に向かった。韓森が陣地に着くと、意外にも見覚えのある人物を見かけた。

「蘇小橋!」韓森は的場の脇で弓矢を磨いている蘇小橋を驚いて見た。

「お尻狂魔、なんで私のことを知ってるの?」蘇小橋は少し意外そうに韓森を見て言った。

「君を知らないわけがないだろう。あの時、落日の坂で最初に『B兄』って呼んだのは君じゃないか。それで『B兄』の名声が天下に広まったんだぞ」韓森は笑顔を浮かべながら言ったが、心の中では歯ぎしりするほど腹を立てていた。蘇小橋がいなければ、こんな変な外号もつけられなかったはずだ。

蘇小橋はすぐに得意げな表情を浮かべた。「そうだよ。俺様の蘇小橋が言うのもなんだけど、俺の一言『B兄』がなかったら、金貨があんなに有名になれたと思う?今や『B神』にまでなったんだぜ。これぞ俺様の蘇小橋の功績だな」

「兄弟、すごいじゃないか」韓森は親指さんを立てたが、心の中では歯ぎしりしていた。「このちびっ子、随分と得意になってるな。後でどうやって懲らしめてやるか」

「なあ兄弟、なんで神射組を選んだんだ?」二人はかなり打ち解けて話し、蘇小橋が韓森に尋ねた。

「もちろん弓矢は射程が長くて、命がけで戦わなくていいからさ。遠くから矢を放つだけでいいんだ。命を大切に、安全第一だよ」韓森は笑って答えた。

「兄弟、英雄の見識は似たりだな」蘇小橋は遅れて知己に会えた気分で、韓森の肩を抱きながら言った。「神射組が一番安全じゃなかったら、俺がこの組に入るわけないだろ。組長は確かに見た目はいいけど、あいつは虐待狂だぜ。俺たちが裏で何て呼んでるか知ってるか?へへ...変態処女...」

蘇小橋が韓森に熱心に話している最中、突然二人とも寒気がして、冷たい風が吹き抜けたような感覚を覚えた。