韓森が避難所世界に行く前に、秦萱が通信で彼を転送ステーションに呼び出した。
韓森が転送ステーションに到着すると、楊曼麗は冷たい目で彼を一瞥し、秦萱のオフィスへと案内した。
「座って」秦萱はまだ公務に追われており、韓森は椅子に座って待つしかなかった。
秦萱は手元の仕事を片付けてから、韓森を見て言った。「あなたを黒鷹軍事学校の受験に推薦しようと思っています」
「黒鷹軍事学校の受験に推薦?」韓森は一瞬呆然とし、秦萱の意図が分からなかった。軍事学校は自分で受験できるはずで、他人の推薦は必要ないはずだった。
秦萱は韓森の心中を見透かしたように続けた。「黒鷹軍事学校には毎年一定の特別推薦枠があります。主に弓矢の特技を持つ人向けですが、特別推薦枠でも試験に合格し、一定の基準を満たす必要があります。あなたは弓矢の技量が優れていて、身体素質が少し劣っていても問題ありません。だから、試してみることを推薦しようと思いました。早めに軍事学校で正規の訓練を受けることは、あなたにとって大きな利点になるでしょう」
韓森は心の中で、どうやって秦萱の申し出を断るべきか考えていた。一つには軍事学校にあまり興味がなく、二つ目にはロガ星には一つしか軍事学校がないため、黒鷹軍事学校に合格すれば、ロガ星を離れなければならず、羅素蘭と韓妍を置いていくわけにはいかなかった。
しかし韓森は、秦萱が彼の軍事学校入学に非常に熱心であることに気付いた。合理的な説明をしなければ、秦萱の了解を得られそうにない。また、秦萱の好意に対して、情理としても説明する必要があった。
「秦駅長、本当に感動しています。でも、私にはすでに行きたい軍事学校があるんです。申し訳ありません」韓森は困った表情で言った。
「へぇ、どこの軍事学校を受けるつもり?」秦萱は興味深そうに韓森を見つめた。韓森がようやく目覚め、向上心を持ったと思ったのだ。
「ロガ軍事学校を受けたいと思っています」韓森は胸を張って大きな声で言った。
秦萱も傍らの楊曼麗も、まるで馬鹿を見るような目で韓森を見つめた。
楊曼麗は冷たい表情で言った。「黒鷹軍事学校は連盟全体でトップ50に入る軍事学校よ。それを、ランク外で千位にも入らないロガ軍事学校と比べるの?」