半日以上歩いたが、道中で異生物に一匹も出会わなかったことに韓森は不思議に思った。
突然、前方に巨大な岩石砂蟲の姿が現れた。韓森は急いで戦闘態勢に入った。普通の岩石砂蟲は原始生物に過ぎないが、その体格が大きすぎて、力が十分に強力で、多くの変異生物よりも恐ろしかった。
しかし、その岩石砂蟲は全く動かなかった。韓森が近づいて見ると、この岩石砂蟲がすでに死体であることがわかった。頭部全体が誰かに砕かれており、どのような攻撃を受けたのかわからなかった。
「どうやら本当に誰かがここに来たようだ」韓森は身を引き締め、神血三つ目猫を収めて、自分で慎重に前進し続けた。
道中、岩石砂蟲の死体が徐々に増えていった。ある岩石砂蟲はまだ砂地から這い出たばかりで、頭部が何かに砕かれていた。どんな武器がそんなに強力なのかわからなかった。
岩石砂蟲の死体の他に、一角砂狐の死体も現れ始め、しかもどんどん増えていった。死体の傷跡は様々で、同じ人物の手によるものとは思えなかった。
韓森は眉をひそめ、さらに前進し続けた。また半日ほど歩くと、遠くから獣の咆哮と人間の叫び声、そして武器の衝突音が聞こえてきた。
韓森はすぐに慎重に砂丘の後ろに潜み、望遠鏡を取り出して見渡した。
「神の天子!」韓森は心の中で叫んだ。
前方の谷間で、神の天子の一団が一角砂狐を虐殺していた。神の天子以外は、基本的に韓森が知っている強者たちの部下だった。
しかし、その中の一人を韓森は見たことがなかった。その人物は非常に体格が良く、石さんと比べても遜色なく、体にはスチールアーマーのような半身鎧を着ていた。両手には漆黒の大きな鉄槌を振り回し、非常に恐ろしげだった。ハンマーの頭はパン屋の車ほど大きく、振り回すと無双の威圧感があり、一撃で巨大な岩石砂蟲の頭部を粉砕し、一角砂狐をも一掃した。
「くそっ、神の天子はどこからこんな猛者を見つけてきたんだ?」韓森の心の中は疑問だらけだった。このような人物が鋼鎧シェルターにいれば、とっくに有名になっているはずだが、韓森はこの猛男を見たことも聞いたこともなかった。