他の神血生物であれば、韓森は決して神血鬼炎蝶を使わなかっただろう。結局のところ、一匹の神血生物を倒すために神血鬼炎蝶を無駄にするのは割に合わない。なぜなら、その神血生物が必ず獣魂を落とすという保証はないからだ。
しかし、神域島の神血生物は必ず獣魂を落とすのだ。しかも、このように強力な人型の獣魂なのだ。今はまだどんなタイプなのかわからないが、どんなタイプの獣魂でも弱いはずがない。
さらに神血の宝具である大剣もある。その大剣は血まみれの殺戮者の黄金の巨斧よりもずっと優れている。黄金の巨斧は重すぎて持ち運びが非常に不便だし、切れ味もこの大剣には遠く及ばない。
黄金の巨斧は力任せの代物で、ただ硬くて重いだけで、あまり鋭利ではない。一方この大剣は、明らかに神血獣魂の武器に劣らず、むしろ更に強力だ。このような宝具は、避難所世界から持ち出せなくても、必ず高値で売れるはずだ。黄金の巨斧とは違って、扱える者が少なく、持ち運びも不便で、高値がつかない。
この神血生物を倒せば、獣魂と宝具の両方が手に入る。神血鬼炎蝶を一つ使うのは大きな得だろう。
こっそりと大山の近くまで戻ると、遠くからその神血生物が相変わらず木の下に立ち、両手を輝く大剣に置き、目を閉じて完璧な天使の彫像のように立っているのが見えた。
昼間はよく見る余裕がなかったが、今は月光と星明かり、そして氷晶ダイヤモンドのような透明な大剣の光輪に照らされて、この神血生物をよく見ると、その美しさに思わず感嘆せずにはいられなかった。
白い羊脂白玉で彫られたような鎧は、半透明に輝き、彼女の体を包み込み、長い玉のような脚とくびれた体つきを余すところなく際立たせていた。
真っ白な翼と金色の大きな波打つ巻き毛、そして精緻な五官を持つ美しい顔立ち、その美しさの中に冷酷さを帯びており、まさに天上の審判の天使のようだった。
もし昼間にこの神血生物の強さと冷酷さを目の当たりにしていなければ、韓森はその美しさに心が揺らぎ、このような美しい生き物に手を下すことができなかったかもしれない。
「この神血生物は本当に強すぎる。チャンスは一度きりだ。一度で成功しなければ、逃げ切れるかどうかも問題だ」韓森は心の中で、どの獣魂を使って戦うべきか思案した。