第235章 怪物と呼ばれる男

楊曼麗もこの映像を見た。映像の時間は彼女と韓森の試合の時間と一致しており、映像の中の人物が韓森だと容易に判断できた。

映像の中の人物を見ていると、鳥肌が立ちそうになった。あの射撃の感覚は、まさに射手の究極の追求だった。

韓森の射撃が特別に正確だったとか、速かったということではなく、あの目力と予測能力のことだ。

古今東西、弓手であれスナイパーであれ、標的を命中させる最大の難しさは射撃の精度ではなく、様々な複雑な状況の予測にある。明らかにこの点において、韓森は極限に達していた。

まるで未来を予知しているかのように、放たれる矢の一本一本に明確な目的があり、単なる標的の追跡ではなかった。

楊曼麗は見れば見るほど身体が冷えていくのを感じた。もし韓森と正面から対決することになれば、自分は矢を放つことすらできないのではないかという恐れを感じた。

その感覚は言葉では表現できない。矢術がある段階に達した後の、細部の判断から導き出される結論だった。韓森の予測能力は本当に強すぎる、これが楊曼麗の心を寒くさせる主な理由だった。

「秦萱の言う通りね、彼は確かに射手に向いている。こんな天賦は、まさに射手のために生まれてきたようなもの」楊曼麗は動画を見終わると、長く息を吐き出し、複雑な表情で考え込んだ。

この動画は射手座コミュニティで大きな議論を呼び起こしたが、それも矢術愛好家の間だけのことだった。

矢術はやはりマイナーな古武器で、他の古武器と比べても練習する人が少なく、射手座もただの矢術における小さなサークルに過ぎず、大きな影響力はなかった。

韓森が学校に戻ってきて、紀嫣然と一緒に食事に行こうと思った矢先、通信機が鳴った。司徒香が弓道部のメンバーを集めていた。

部の練習場に着くと、石さん、呂蒙、張揚が全員いることに気付いた。彼らも司徒香に呼ばれて部に来ていたのだ。

「三番目、お前も部に入ったのか？」石さんは韓森の肩に手を置いて笑いながら言った。

「仕方ないだろう、俺が弓道部なんだから。お前らもみんな来てたのか？」韓森は何気なく言った。

「仕方ないだろう、俺たちもお前と同じく弓道部なんだから」石さんは韓森の言葉をそのまま返した。

実際は司徒香が韓森の資料を見ていた時に、他の特別招待生の資料も改めて調べ直し、韓森のような見落としていた人材がいないか確認したところ、石さんたちを呼び入れることにしたのだ。彼らのレベルは悪くなく、天賦も良かったので、司徒香はしっかり訓練させようと考えていた。今年は使えなくても、来年には主力として使えるようになるだろう。

「司徒コーチが俺たちを呼んだ理由、知ってるか？」韓森は石さんたち三人に尋ねた。

「さあな、俺たちもお前と同じく部に入ったばかりだから、何もわからないよ」石さんが言った。

「司徒コーチが俺たちを呼んだのは、当然練習に関することだろう。今回俺たち四人が弓道部に入ったんだから、必ず部の名誉のために今年の学校対抗戦で優勝しないとな」張揚は相変わらず熱血だった。

韓森が何か言おうとした時、司徒香が笛を吹いて多くの部員たちを集合させた。

「今日皆さんを集めたのは、いくつかの矢術の映像を見てもらうためです。これは軍校生の試合映像で、今年皆さんの対戦相手になる人物です」司徒香はそう言いながら、すでにホログラム投影機を起動し、選んだホログラム映像を再生し始めた。

映像は編集された集大成で、全て一人の人物が弓を引く場面で、基本的に全て軍校対抗戦の正規な的場だった。

その後丸々四十分以上、練習場は水を打ったように静かだった。多くの部員がいたにもかかわらず、針が落ちる音さえ聞こえるほど静かだった。

映像が終わった後、石さんは額の冷や汗を拭いながら、映像の中の無表情な男子学生を見て言った。「なんてこった、こいつが本当に軍校生なのか？進化者レベルのプロアーチャーじゃないのか？」

「怖すぎる、こんな奴が本当に俺たちの対戦相手なのか？」

「もうどうしようもない、負けは確定だな」

「まるで人間じゃないよ！」

「彼が私たちの対戦相手なのは間違いありません。れっきとした軍校生です」呂蒙は冷静に言った。

司徒香は興味深そうに呂蒙を見て言った。「あなたはこの人物を知っているようですね。では皆に紹介してください」

呂蒙は自然に続けて言った。「この人物は在席の皆さんも聞いたことがあるはずです。中央軍校の弓道部主将、京極霧です。怪物と呼ばれる男で、入学一年目から、それまでは辛うじて四強の一つに数えられる程度だった中央軍校弓術隊を率いて、矢術対抗戦を完全制覇し、無敗で優勝しました」

「二年生に進級してからは、さらに戰甲部員、古武術部員、神の手部員などの身分で、軍校の大半の種目の対抗戦に参加しました。中央軍校は元々各種目で強かったものの、それは単に強いというだけでした。しかし京極霧が加入してからは、彼が参加した試合は全て圧倒的な強さで優勝し、例外は一つもありませんでした」

「三年生でも同様に圧倒的でした。そして京極霧の存在により、軍校対抗戦はルールが変更され、一人の選手は一つの部門の試合にしか参加できなくなりました」呂蒙は淡々と続けた。「今年は彼の軍校最後の年で、一つの部門しか選べない状況で、彼は自分の専門である弓道部を選びました」

「なんて運の悪い、京極霧は他の何でもなく、どうして私たちの弓道部を選んだんだ」

「考えすぎだよ、私たちのこのレベルじゃ、中央軍校と当たる可能性も低いだろう。京極霧が何を選ぼうと、私たちには関係ないよ」

「そうだな、私たちは何年も下位で、予選突破すら難しいんだから、京極霧に会うことなんてないだろう」

「実は私は彼に会ってみたいな。誰かに負けるなら、京極霧に負けた方がまだマシだ。少なくとも京極霧に負けた男って言えるしな」

部の古参メンバーたちは無関心に言った。明らかに彼らは度重なる敗北で自信と向上心を失っていた。

「京極霧についてよく知っているようですね。では、私たちが中央軍校と当たった場合、勝算はどのくらいあると思いますか？」司徒香は呂蒙に尋ねた。

「勝算はありません。中央軍校は京極霧だけが強いわけではありません。他の主力メンバーの中にも、トップ10に入る選手が二人いて、残りの二人もトップ20に入る実力です。一方、私たちの部には個人ランキングで100位以内に入る選手さえいません」呂蒙は遠慮なく言った。

古参メンバーたちは皆、司徒香のこの質問があまりにも現実離れしていると感じた。彼らには中央軍校と戦う機会すらないのに、勝つ可能性なんてあるはずがない。

司徒香はただうなずくだけで、何も言わなかった。そして韓森の方を向いて尋ねた。「韓森、あなたはどう思いますか？」