第259章 神がかり戦術

試合開始からわずか5分も経たないうちに、全員が口を開けたまま閉じることができず、天網で試合を観戦していた人々でさえコメントを投稿することを忘れ、一人一人が目を見開いて試合映像を見つめ、自分の目を疑うほどだった。

会場全体に遮断システムが設置されているため、中央軍校の選手たちは外の観客の声を聞くことも、彼らの表情を見ることもできなかった。もしそうでなければ、何かがおかしいことに気付いたはずだ。

試合開始の剎那から、黒鷹軍事学校の5人は一列に並び、会場の左側を腰を曲げて素早く走り、なんと中央軍校のハーフまで進入し、さらに猛スピードで前進を続けていた。

許山丘や偽石山、小さな林などの障害物があるため、試合開始直後は相手の姿を見ることができなかった。

通常、チームは素早く1、2か所の高地を確保し、相手の動きを観察するものだ。

このような高地は、両陣営のハーフに数か所あり、両チームの選手が地形を利用して敵の動きを観察できるようになっている。

しかし韓森たちは高地を確保することを完全に放棄し、最初から全力で比較的発見されにくいルートを通って相手陣地に進軍した。これは実際には非常に危険な行動だった。

もし高地を確保した敵に発見され、利用されてしまえば、彼らは自ら罠に飛び込むようなものだった。

誰もが黒鷹校隊のこの大胆な行動に驚愕した。通常なら、中央軍校が近くの高地を確保した後で彼らの姿を発見し、その高地に伏せて待機し、韓森たちが射程に入った時点で容易に一網打尽にできるはずだった。

「これは一体どんな戦術なんだ?」

「あまりにも危険すぎる、絶対に見つかるだろう?」

「間違いなく見つかるよ、黒鷹軍事学校のこの手は完全に間違っている」

「素晴らしい試合になると思っていたのに、これではすぐに終わってしまいそうだ」

「相手が中央軍校だからというだけじゃない、二流の軍校でもこんな失態は犯さないだろう、こんな侵入を許すなんて」

「黒鷹は何をしているんだ?」

……

矢術の試合について少しでも知っている人なら、黒鷹のこの行動が自殺行為同然だと感じていた。

この時、司徒香も緊張して拳を握りしめ、美しい目で会場内を素早く相手陣地に侵入していく韓森たち5人をじっと見つめていた。