第288章 地図

韓森は自分がこれほど長く行方不明になっていたのだから、特別安全行動組の規則によれば、とっくに新しい隊長が彼の代わりに選ばれているはずだと思っていた。しかし、意外なことに、彼はまだ隊長の地位を保持しており、小隊の業務はすべて楊曼麗が代理で処理していたのだった。

韓森は内心驚いていた。彼の現状では、副隊長の楊曼麗が正式な隊長に昇進する資格は十分にあったはずだ。しかし楊曼麗は依然として副隊長の立場を保ち続け、隊長には昇進していなかった。

韓森が小隊の他のメンバーと話をして初めて分かったことだが、上層部は確かに楊曼麗に隊長職を引き継がせようとしていたものの、楊曼麗自身がそれを断っていたのだった。

これは韓森を非常に驚かせた。楊曼麗はずっと隊長になりたがっていたのに、このような良い機会を断るとは、まったく予想外だった。

韓森は楊曼麗の通信機に連絡を取り、感謝の言葉を伝えようとしたが、楊曼麗は冷淡に、この一年間の小隊の事情を説明するだけで、それ以外は何も語らず、韓森は感謝の言葉を述べる機会を見出せなかった。

実際、以前から韓森と楊曼麗の関係はあまり良くなかったため、すぐには言葉が出てこなかった。

韓森は小隊の隊長職にそれほどこだわってはいなかったが、楊曼麗が助けてくれたことは確かで、やはり感謝すべきだった。

「韓後輩、戻ってきたのに先輩の私に一言も言わないなんて、私のことを全然考えていないのね?」皇甫瓶晴が突然韓森の通信機に連絡してきて、少し不満げに言った。

「ちょっと怖かったんです。」韓森は笑いながら答えた。

彼は許如煙をひどい目に遭わせ、星宇グループを大いに怒らせてしまった。皇甫瓶晴は神の天子の従妹でもあるため、韓森は皇甫瓶晴に連絡すべきかどうか迷っていたのだ。

戦神武道館は避難所内で取引業を営んでおり、多くの避難所を訪れている。格蘭避難所から鋼甲避難所に戻る方法を知っているとすれば、間違いなく皇甫瓶晴だろう。

韓森は皇甫瓶晴と戦神武道館の力を借りて鋼甲避難所に戻りたかった。そうでなければ、自分が育てている神血生物を食べることもできないのだから。