おばあさんは今、華やかな服に着替えていたが、顔色はまだあまりよくなかった。
森川北翔は冷たく彼女の左側に座っていた。
右側には六十歳くらいの男性が座っており、森川北翔の父親だった。
側面のソファには四十代の夫婦が座っており、森川北翔の兄夫婦で、森川辰の両親だった。
誰も彼女の身分を紹介していなかったが、森川家で主席に座れるのは間違いなく森川おばあ様だ!!
広石若菜は立ち尽くしたまま、「あ、あなた…」と言っていた。
「あなたは…」と何度も口にしながら、一言もまともに話せなかった。
栗原郁子は両足がふらつき、あやうく地面に倒れそうになったが、森川辰に支えられた。
森川辰は不思議そうに「どうしたの?」と聞いた。
栗原郁子の手も震えていた。