研究開発部の一組の技術コアは、非常に難しいものだった。
栗原愛南がこの問題を解決するのに、二時間もかかった。
彼女は張本健にメールを送り、彼を探しに外に出た。
しかし張本健は立ち上がり、とても嬉しそうな様子で言った。「退勤だ!」
今日は金曜日、退勤時間は全てのサラリーマンにとって最も幸せな瞬間だ。
ようやく週末を迎えられる。
張本健は笑いながら言い終わると、やっと栗原愛南に気づいた。「仕事はどうだった?」
栗原愛南が口を開いた。「私は...」
「実は急ぐことはないんだ!」張本健は興奮して彼女の言葉を遮った。「まずは週末をゆっくり過ごして、何かあれば月曜日に話そう。」
栗原愛南は黙って自分の言葉を飲み込んだ。
彼女はあまり出勤しないが、金曜日の退勤時に仕事の話をするのは嫌われることだとわかっていた。
先輩の週末の邪魔をしないほうがいいだろう。
きっと彼女が完成させた仕事も、研究開発部の小さな問題に過ぎないのだろう。
張本健はバッグを手に取って外に向かい、栗原愛南の横を通り過ぎる際に、足を止めて慰めの言葉をかけた。「落ち込まないで。君はもうすごいんだよ!」
栗原愛南には意味がわからなかった。
彼女は本来仕事をする必要はなかったが、今日、江口亜英が彼女を助けてくれたことを考えてのことだった。
とにかく仕事は終わったので、来週出勤したら資料館に行こう。
そう考えながら、栗原愛南はオフィスに戻って「ねこ」を抱き上げ、出て行った。
...
最上階。
森川北翔は今日の仕事を片付けた後、時間を確認し、帰宅の準備をした。
しかし紀田亮が尋ねた。「社長、どこにお帰りですか?」
森川北翔は動きを止め、おばあさんがどこにいるのかまだ聞いていなかったことに気づいた。
彼はおばあさんに電話をかけた。「おばあさん...誰の家にいるんだ?」
答えは予想外だった。「病院よ。」
森川北翔は眉をひそめた。「医者はもう退院できると言っていたじゃない?」と言った。