南條博士に会う!

「社長が言ってるんだけどさ、栗原郁子さんに確認したいことあるって。いつ「栗原愛南さんを海浜市から消せ。」なんて話になってたわけ?社長の記憶にはまったくないってさ。」紀田亮の声が電話の向こうから聞こえてきた。

その言葉を聞いたとたん、栗原文彰は一瞬ぽかんとして、信じられないみたいに栗原郁子を振り返った。

栗原郁子はたちまち青ざめ、怒られるってわかっているのか、俯いて唇を震わせる。

栗原文彰は慌てて紀田亮に平謝りを繰り返すが、最後には「栗原家は娘の躾をもっときちんとするべきですね!」って棘のある言葉をもらい、ようやく電話を切った。そして栗原郁子をきつく睨む。

栗原郁子はうなだれ、涙を流しながら声をしぼりだすように言った。「だって愛南が森川さんに纏わり付いてるの見ちゃったんだもん…私と辰の婚約に響くんじゃないかと心配だったし、森川家に悪いイメージ持たれたくなかったの。パパ、わざとやったわけじゃないの…」