南條博士が来た

三人はレストランに入った。

森川辰は辺りを見回したが、その見慣れた姿は見当たらなかった。

彼は思いを切り替え、栗原郁子に向かって言った。「南條博士が森川グループで働くなんて、ありえるのかな?」

栗原郁子は栗原奥様をちらりと見て、声を潜めて言った。「辰お兄さん、まずは南條博士とよく話し合ってみて。誠意を示せば、きっと南條博士の心を動かせると思うわ。」

彼女は栗原奥様の方に歩み寄り、恥ずかしそうに言った。「お母さん、ブラの肩紐が外れたみたいなの。トイレに付き添ってもらえる?」

栗原奥様は彼女とトイレに向かった。

森川辰は先に個室の入り口まで歩いた。

彼が森川グループで最初に配属されたのは研究開発部だった。もし南條博士が彼のチームに加われば、森川グループでの彼の信頼度は大きく上がるはずだ。