あの白い錠剤を口に入れると、すぐに清涼感が広がった。
彼女のかゆみのある喉は、清水に包まれたかのように、とても快適になった。
栗原奥様は水を飲まずに、直接薬を飲み込んだ。
「ゴホッゴホッ…」
突然また咳き込んだ。
彼女は苦笑いし、さっきのほんの一瞬、この薬が効いたように感じたのだった。
…考えすぎたか。
栗原奥様はベッドに横たわり、目を閉じた。
これは神経性慢性咳嗽だ。二十年以上、どれだけの薬を飲み、どれだけの専門家に診てもらったことか。それでも治らなかった…
…
「静佳?静佳!起きて!」
栗原奥様はゆっくりと目を開け、ベッドの傍らに立つ栗原文彰を見た。部屋が昼のように明るかった。
病院の白熱灯はこんなに明るいのか?
彼女は少し困惑し、尋ねた。「何時?」
「朝の十時だよ!」栗原文彰は心配そうに彼女を見た。「何か食べないと。低血糖になっちゃうよ…」
栗原奥様は呆然とした。
彼女は困惑して首を巡らせ、やっと部屋の明るさが照明ではなく、太陽の光だと気づいた!
彼女は夜が明けるまで寝ていたのか?
どうしてそんなことが?
あの薬だ!愛南がくれたあの薬!
傍らの南條おばさんは興奮して目が赤くなっていた。「奥様、昨日医者が出してくれた睡眠薬が効いたね!なんと十時間もお眠りになられた!」
栗原奥様は一瞬固まった。「どんな睡眠薬?」と尋ねた。
南條おばさんは栗原郁子の方を向いて言った。「森川辰さんが奥様のためにお探しになったんだ。奥様が眠りになれないと聞いて、わざわざ強力な睡眠薬を見つけてきて、お薬に混ぜたんだ。伝えしなかったのは、奥様がずっとそのことが気になって、余計に眠れなくなるのを心配したからだ。まさか本当に効くなんて!」
栗原奥様は一瞬黙った。
そういうことか?
でも睡眠薬は睡眠を助けるだけのはず。今朝目覚めたとき、明らかに喉がずっと楽になっていた!
彼女の視線は枕元に落ち、ラベルのないプラスチックの瓶を見つめた。
今夜もう一度試してみよう…