クズ男

森川北翔は目を細めた。

どんな身分?

竹歳明の彼女という身分?

この瞬間、彼の頭の中で全ての出来事がつながった。

この女は企画書を盗むようなタイプではない。そして、その解決策はあまりにも複雑で、江口亜英が言うには業界全体で南條博士以外に、こんなに短時間で完成できる人はいないだろう。ということは…

栗原愛南の企画書は竹歳明が渡したものに違いない!しかし竹歳明は南條博士に知らせていなかった。そうでなければ、南條博士がまた森川辰に送ることはなく、この誤解を招くことはなかっただろう。

ビジネスの世界は複雑だ。竹歳明はなぜ南條博士の企画書を取ったのに、南條博士は知らないのか?彼は本当に栗原愛南のために真相を明らかにするのだろうか?

森川北翔は不安そうに尋ねた。「彼が本当に来ると確信しているのか?」