旧友

栗原愛南は胸がドキッとして、急いでその警官に近づき、彼が何を言ったのか聞き取ろうとした。

しかし次の瞬間、その警官の横から手が伸び、慌てて一時停止ボタンを押した。冷たい叱責の声が響いた。「事件はまだ未解決よ。すべての証拠を容疑者の前で見せてはだめ！警察学校で何年も学んだのにそんなことも分からないの？！」

その警官はすぐに咳払いをし、苦い顔で謝った。「川内先生、申し訳ありません。」

話をしたのは女性の法医学者で、冷たい表情をしていた。その眼差しは正義に満ちており、全体的に国家の安泰を感じさせる雰囲気だった。彼女は冷たく言った。「二度としないで。」

「はい。」

その法医学者はようやく愛南の方を向いた。眉をひそめたが、何も言わず、直接手袋をはめ、道具箱を持って遺体の方へ歩いていった。

栗原愛南は少し驚いた。まさか彼女だとは思わなかった。

目の前の人物は彼女の中学校の同級生で、人生で最初の同性の友人でもある川内美玲（かわうちみれい）だった。

川内美玲の家系は何代にもわたって法医学者で、中学生の頃からはっきりとした人生設計を持っており、自分はこの世界の正義を守るために生まれたのだと言っていた。

当時は中二病的な言葉だったが、それが彼女の一生の奮闘目標となった。

彼女は高校から直接専門学校に進学し、今では若くして誰もが畏れる法医学者になっていた。

しかし…

愛南は目を伏せた。

彼女は自分に対して誤解があるようで、さっきの態度を見ると、心のわだかまりはまだ解けていないようだった。

愛南は静かにため息をついた。

数分後、川内は遺体の検査を終え、立ち上がって結論を述べた。「被害者は貫通傷で死亡しています。一撃で命を落としました。胸に打撃の跡があり、死亡時刻は…」

彼女は時計を確認した。「三十分から三十五分前です。」

警官はすぐに言った。「ちょうど今通報を受けてから三十分経過したところです。つまり、被害者は栗原さんが部屋に入った頃に死亡したということになります！」