第112章 公平

栗原愛南はそのマイクロブログの投稿を開くと、梅岛が撮影した動画だと分かった。

動画の中で、栗原郁子と広石博隆が会っていた。二人は隅に隠れていて、距離が遠かったため何を話しているかは分からなかったが、広石博隆が興奮している様子だけが映っていた。

梅岛は何とか近づこうとし、カメラは目立たない角度からゆっくりと近づいていった。すると二人の会話が聞こえてきた。栗原郁子が話していた。「慌てないで。あなたが尻尾を出さなければ、警察には証拠なんてないわ。あなたのやったことは完璧よ!」

しかし広石博隆は焦っていた。「でも今、記者たちが俺を追いかけ回してるんだ……」

突然、栗原郁子が叫んだ。「誰?」

二人は慌ててカメラの方を向いた。

梅岛のカメラはすぐに横を向き、地面を撮影した。

そして栗原郁子の声が聞こえた。「何を撮ったの?」

梅岛は言った。「私は記者です。何を撮ろうと公表する権利があります!」

栗原郁子は深呼吸をした。「いくら欲しいの?払うわ!動画を消して!」

広石博隆も近づいてきた。「そうだ、動画を消せ。さもないと今日ここから出られないぞ!」

その声には悪意が込められており、背筋が寒くなるようだった。

梅岛は明らかに緊張した様子で言った。「分かりました。今すぐ消します。」

カメラの画面が暗くなった。

しかし広石博隆と栗原郁子は恐らく知らなかっただろう。現在の追跡撮影技術はかなり向上しており、少なくとも記者たちが撮影した映像はリアルタイムでネットワークストレージに送信されることを。

梅岛はこの動画を投稿した後、すぐにマイクロブログに投稿した。「栗原某は当時広石博隆と共謀し、凶悪な表情を見せていました。私はその場では彼らに協力するふりをして動画を削除しました。その後、私は見知らぬ人から録音を受け取り、警察に提出したのは私です!しかし栗原某が厚かましくも功績を横取りしたのです!」

梅岛のフォロワーは多くなかったため、この投稿は大きな注目を集めなかった。

梅岛は栗原愛南にマイクロブログのリンクを送り、続けてこんなメッセージを送った。【南條記者、私一人の声では社会に届かないかもしれません。転載していただけないでしょうか?】

栗原愛南のこのマイクロブログアカウントには数百万のフォロワーがいた。