第148章 彼女こそが森川奥様!

栗原愛南は栗原郁子をかわして紀田葵可の前に歩み寄り、部屋に入ろうとしたとき、紀田葵可が突然口を開いた。「あなたは?」

彼女の声は小さく、か弱そうに見え、攻撃性はなさそうだった。

栗原愛南は眉をしかめ、何も言わなかった。

栗原郁子が口を開いた。「伯母さん、こちらは栗原愛南です。ひいおばあ様が病気になったときに、あなたと間違えてしまって、それで森川が彼女をずっと家に住まわせていたんです...今、外では色々な噂が広まっていて、愛南が叔父さんの愛人だとか...」

「郁子!」栗原奥様が警告の声を上げ、栗原郁子の次の言葉を遮った。

栗原郁子は口をとがらせ、それ以上は言わなかったが、その言葉の意味は既に明らかだった。

栗原愛南は彼女を無視し、紀田葵可をじっと見つめながら直接尋ねた。「紀田お嬢様ですよね?あなたは本当に森川奥様なんですか?」