第146章 森川奥様が来た

栗原奥様は少し驚いた。

  栗原愛南が結婚証明書を見せようとする意図がわからなかった。

  しかし、彼女は栗原愛南に従って隣の休憩室に向かった。

  栗原愛南はドレス姿で、手にはスマートフォンだけを持ち、バッグと森川おばあ様の荷物は隣の部屋に置いてあった。

  彼女は今日栗原奥様が来ることを知っており、心配させたくなかった。

  これまでの経験から、自分が何を言っても信じてもらえないことを知っていたので、思い切って結婚証明書を持ってきたのは、彼女を心配する栗原奥様の気を少しでも楽にさせるためだった。

  二人が休憩室に向かおうとしたとき、入り口の方で突然騒がしくなった。

  栗原愛南と栗原奥様は思わず振り向いて見ると、森川北翔が到着したところだった。彼はタキシード姿で、まるで月を取り巻く星々のように堂々と入場し、真っ直ぐに森川おばあ様の方へ向かった。