栗原愛南は疑問に思いながら写真を受け取り、下を向いて見た。
その写真は一目見ただけで年季が入っていることがわかった。当時の解像度はまだ十分ではなく、おそらく古い写真が傷んで修復されたのだろう、通常の写真よりも色が少し濃く見えた。
写真には男女1人ずつが写っていて、おそらく何かのパーティーに参加しているようだった。背景はかなり華やかで、二人とも正装のスーツとドレスを着ていた。
若い男性は20代半ばくらいで、井上市川に少し似ていた。栗原愛南はすぐにこれが井上のお父さんだと理解した。
そして井上のお父さんの隣に立っている女性は...栗原愛南の瞳孔を縮ませた。
この女性は気品があり、スタイルが良く、時代を感じさせるオーラを纏っていた。写真の解像度が低いため、30代半ばくらいに見えたが、栗原愛南は彼女の目つきから判断して、少なくとも40代前半だと思った。