第186章 病室に入る!

栗原愛南は森川北翔と栗原叔父さんが病室の右側にいるのを感じ取り、出るときはちらりと一瞥しただけで左側に向かって歩いていった。

そのため、廊下にいた栗原叔父さんはドアが開くのを見て、ただ軽く一瞥しただけだったが、すぐに彼女の後ろ姿に目が釘付けになり、目を細めた。

栗原愛南の後ろ姿は凛として、竹のような雰囲気を醸し出していた。

その雰囲気は、栗原奥様によく似ていた。

栗原叔父さんはこの私生児のことをずっと前から聞いていた。栗原奥様のそばで育ったため、彼女には栗原奥様の影があるのだと。

栗原郁子は外見だけが似ているにすぎなかった。

しかし栗原愛南は後ろ姿だけで、栗原奥様の雰囲気の7、8割を持っているようだった。

彼はほとんど貪るように、もう二度見した。

栗原愛南の中に若い頃の栗原奥様の姿を見出そうとしたが、残念ながら彼は20年以上も栗原奥様に会っていなかったため、栗原奥様の姿は彼の脳裏でぼやけてしまっていた。