「広石研究員、こちらへどうぞ」
森川麻理亜が丁寧に案内すると、「広石研究員」と呼ばれた男性は無意識に周りを見回した。まず、目の前の豪華な装飾に驚き、それから目の前の人たちを見た。
彼の視線が数人の上を滑り、最後に栗原愛南の上で止まり、少し驚いた様子だった。
彼は以前、ノラ研究員を一度だけ見かけたことがあったが、残念ながら横顔だけだった。
目の前の人はノラ研究員に少し似ていた。
栗原愛南も研究所の人を見て、少し眉をひそめた。
京都研究所の院長の名前は野池茂で、彼女はずっと知っていたし、薬を届けに来る人でもあった。なぜ入ってきた人がこの見知らぬ広石研究員なのだろうか?
彼女が不思議に思っている間に、森川麻理亜はすでに紹介を始めていた。「お爺さん、お父さん、叔父さん、こちらが私が言っていた広石研究員です。彼は私の彼氏のいとこで、現在研究所で働いています」