愛南はすぐに少し戸惑った。
隣にいた森川北翔はすでに足早に歩み寄ってきて、さりげなく彼女のカードを覗き込もうとしながら、口では「君に愛の証を贈った人からの花?」と言っていた。
愛南は可笑しくなって、カードを彼に渡した。
栗原叔父さんの名前を見た森川北翔は咳払いをして、皮肉っぽく言った。「長輩が何でバラを贈るんだ!」
愛南は静かにため息をついた。
女の子をなだめるために花を贈るのは、誰もが使う手段なのか?
でも彼女は本当に栗原叔父さんに腹を立てていなかった。結局のところ、あの時栗原叔父さんは南條静佳を守るためにそうしたのだから……
ただ、南條静佳と栗原叔父さんが会わないのに、自分が栗原叔父さんに会いに行って話をするのは、母親を不快にさせるだろうと思った。