栗原奥様は興奮して言葉もままならず、スマホを指さして泣き出した。
栗原文彰は少し戸惑い、スマホを置いて彼女の背中をさすりながら言った。「このビデオに映っている人の顔ははっきり見えないよ。必ずしもそうとは限らない。落ち着いて、調べてみるから!」
「ええ、お願い……」
栗原奥様は栗原文彰を押し、外に出るように促した。
栗原文彰は眉をひそめ、部屋を出た。
栗原奥様は少し考えて、栗原文彰の力では、その女の子が誰なのか分からないかもしれないと思った。相手は野球帽とマスクをしているのだから。
娘が帰ってきたのに、自分と再会しようとしない……きっと愛南は犯人が近くにいることを知っているからだ!
栗原奥様は拳を握りしめ、ベッドサイドから自分のスマホを取った。