第265章 マスクを外せ!

部屋は暗く、電気がついていなかった。

  栗原愛南はベッドに人影があるのをかすかに見て、すぐに振り向いて、慣れた様子で電気をつけた。

  白熱灯の明かりがついた。

  栗原愛南はすぐに南條静佳を見つけた。

  彼女はベッドに静かに横たわり、目を閉じて眠っていた。両手は胸の上に穏やかに置かれ、寝姿は几帳面だった。

  栗原愛南が一歩前に出て、彼女の様子を見ようとしたとき、背後から急ぎ足の音が聞こえてきた。

  すぐに南條伯母さんと栗原文彰が続けて部屋に飛び込んできた!

  南條伯母さんは眉をひそめ、声を低くして叱った。「あなた、どうして勝手に入ってくるの?早く出ていきなさい!」

  しかし栗原愛南は外に向かわず、栗原奥様のそばに行き、注意深く観察した。「たまたま来ただけです。おばさんを見に来ました。」

  「なんて無礼な人なの!うちのお嬢様がこんな信頼できない友達を持っているなんて!本当に……」南條伯母さんが近づいて、彼女の前に立ちはだかった。

  栗原文彰も眉をひそめた。「お嬢さん、もし出て行かないなら、警察を呼びますよ!」

  その言葉が落ちるや否や、ドアの外にいた森川北翔がさらりと言った。「ただ部屋を間違えただけで、大げさに騒ぐことはないでしょう?」

  栗原文彰は拳を握りしめ、仕方なく森川北翔を見た。「森川社長、どういうおつもりですか?ふみくんは元々体が弱いんです。今回の重大なショックで精神的にも崩壊しています。早く出て行って、ここで話をして彼女を刺激しないようにしましょう。」

  栗原愛南はすぐに疑問を口にした。「栗原奥様は普段浅い眠りだと聞いていましたが、これだけ大きな騒ぎをしているのに、どうしてまだ目覚めないんですか?」

  南條伯母さんはこの言葉を聞いて、すぐに口を開いた。「もちろん、寝る前に奥様が睡眠薬を服用したからです!」

  彼女は詰問するように言った。「なぜそんな細かいことを聞くの?あなたは一体誰なの?まさか、うちのお嬢様を殺害した犯人と関係があるんじゃないでしょうね?」

  彼女の様子は嘘をついているようには見えなかった。

  栗原愛南は栗原文彰を見た。

  栗原文彰も疑わしげに彼女を見ており、目に心虚な様子はなかった。