第353章

栗原美悠纪は喜んで彼女を見つめていた。

井上斉子が落ちたら、きっと死んでしまうだろう。そうすれば、京都で森川北翔を奪い合うきひめが一人減ることになる。

そして栗原愛南も人を救えなかったことで、かえって彼女を刺激し、井上斉子が飛び降りる原因を作ったとして、井上家から恨まれることになるだろう。

まさに一石二鳥だ!

彼女が喜んで前を見ていると、一つの影が飛び出し、井上斉子の腕をしっかりと掴んだ。

井上斉子は体全体が揺れ、宙でぶらぶらしていた。

栗原愛南は地面に伏せ、上半身がほとんど宙に浮いた状態で、彼女の手首をしっかりと掴んでいた。

栗原愛南の体がこの力で引っ張られ、井上斉子と一緒に落ちそうになった時、井上市川と栗原井池も駆けつけ、二人は急いで彼女の足を掴んだ。

四人がかりで、やっと井上斉子を引き留めることができた!