第363章

栗原愛南はこの言葉を聞いて、すぐに眉をひそめた。「なぜ?!」

栗原由奈は嘲笑うように笑った。「知らないの?幼稚園の理事は通常女性が務めるものよ。栗原家が幼稚園の理事になったからには、代表を立てなければならないでしょう。今や私が栗原家で唯一資格のある女性なのだから、当然私がなるわ!」

栗原愛南はその言葉を聞いて、馬鹿げていると感じた。

傍らの江口奥様が言った。「それにしても、勝手に子供を退学させるなんてできないでしょう!こんなことをして、子供の心に大きな傷を負わせたわ!」

江口奥様は突然学校から電話を受けた時のことを思い出し、その時はパニックになって、すぐに学校に駆けつけた。

いつもは素直で思いやりがあり、いつも笑顔を絶やさない息子が、目が腫れるほど泣いているのを見た。

息子は自分の小さな椅子を持ち、小さなリュックを背負って、教室の前で立たされていた。彼女が近づくと、息子は急に「わーん」と泣き出した。

傍らの先生は慰めるどころか、逆に叱りつけた。「ここは学校よ、泣くんじゃありません!他の子供たちの授業の邪魔をしないで!」

江口奥様はほとんど狂ったように駆け寄り、先生を乱暴に押しのけて、息子を抱きしめた。

彼女は優しく息子の背中をさすりながら慰め、そして先生を怒りの目で見つめた。「何をしているんですか?」

前回雪音がいじめられているのを見た時も、同じような気持ちを味わった。

今回は自分の息子が対象で、彼女はほとんど正気を失いそうだった。

しかし先生は相変わらず声を荒げて言い続けた。「何をしているって?あなたの息子は学校で行儀が悪く、勝手にお漏らしをし、虫を他人のカバンに入れたのよ。私たちは会議で話し合って、彼を退学処分にしたの!」

先生はそう言って、隣の黒板を指さした。そこには懲戒処分の掲示があった!

江口奥様はちらりと見て、自分の息子の名前の他に、小さな雪音の名前もあることに気づいた。

息子の江口康介はすぐに言った。「ママ、僕じゃない、うんちは先生が床に置いたの。先生が僕を陥れたんだ!僕は友達のカバンに虫を入れてないよ、友達が自分で持ってきて遊んでたの。友達もそう言ってくれたのに、先生は僕のせいにして...うわーん...」

江口康介は決して嘘をつかない子だった。