第371章

なるほど。

たった今、栗原叔父さんは目の前の愛南が栗原愛南であることをほぼ確信した。

彼は愛南について調査を命じており、愛南は二十年以上もの間、非常に臆病な性格だったことが分かっている。

人の性格は、そう簡単には変わらないものだ。

それに、もし彼の目が正しければ、愛南の運転手をしているあの生意気な若者は森川北翔だ。

森川北翔が他の女性に心変わりするなんて信じられない。あの頑固な性格では、そう簡単に栗原愛南を忘れられるはずがない。

だから、彼女は間違いなく栗原愛南に違いない。

彼の笑顔は徐々に消えていった。

心の中は喜びと悲しみが入り混じっていた。

喜びは栗原愛南がまだ生きているということ。

悲しみは、もし栗原愛南が生きているなら、亡くなったのは本当の愛南だということ。