「そうだ妹よ、この前の試合の時、どうなってたの?私の三つの技を避けられるなんて?まあ、私が油断していたのもあるけど、今度ちゃんと武道を教えてあげるから、もう一度腕前を試してみましょう……」
「そうそう、私の婚約者は山田彩希っていうんだ。今日彼女と約束してるから会わせるよ。これからは親戚同士だからね!」
「でも婿養子じゃないからね、誤解しないでよ。うちの栗原家が男を婿養子に出すほど貧乏なわけないでしょ。ただ仕方がないんだ、山田家に後継ぎがいないからさ、はぁ!」
「いや、後継ぎがいないわけじゃないんだ。山田彩希には兄弟姉妹がたくさんいるんだけど、武道の才能がある人があまりいなくてね。今時の若い者は、苦労を厭う人が多くてさ……私みたいに三歳で叔父さんに預けられて、懸命に修行する者なんて、もっと少ないんだ……」