その言葉を聞いて、木村旭の目が一瞬で赤くなった。「なんだって?!妹はずっと京都にいたのか?」
彼の表情は焦りを帯びていた。
頭の中には15年前のあの光景が浮かんでいた。
当時、彼は5歳で、妹は4歳だった。
遊びに夢中になって、妹を連れて家からこっそり抜け出したが、思いがけず人身売買犯に目をつけられてしまった!
実は最初、人身売買犯が狙っていたのは彼の方だった。男の子だったからだ。
妹が人身売買犯の足元に飛び込んで、必死に抱きついて離さなかった。相手は妹の頬を何度も叩いたが、それでも妹は離さなかった。
近所の人々が物音に気付き、すぐにも出てこようとしていた。
人身売買犯はもう躊躇っている時間がなく、慌てて彼から手を離し、しがみついていた妹を車に連れ込んだ。
彼はその時あまりの恐怖で、妹を助けることもできず、ただ車に連れ去られる妹を見つめることしかできなかった。
彼は後を追いかけて必死に走り、泣き叫んだが、何の意味もなかった。
その車は決して止まることはなかった。
木村旭はその光景を思い出すたびに、心が千々に乱れた。
そのため長年、この事件の自責の念から抜け出せず、京都で遊び暮らし、まともな仕事もしなかった。
しかし木村奥様や周りの人々は彼を甘やかしていた……
なぜなら、彼らは皆、木村旭の心の傷がどこにあるのかを知っていたから。
木村奥様が情報を得て、すぐに彼に伝えに来たのも、そのためだった……
木村旭は狂喜した。「妹の居場所が特定できるなら、探すのは簡単なはずだ!母さん、もっと多くの人手を京都に派遣して探してください!京都を掘り返してでも、必ず妹を見つけ出さなければ!!」
木村奥様は頷き、彼を落ち着かせた。「分かったわ。安心して。」
木村旭はすぐに階段を駆け上がり、箱を抱えて降りてきて、木村奥様の前に駆け寄った。「母さん、これは長年妹のために用意してきたプレゼントです。お年玉も全部ここに入っています。それに会社の株式も……この命は妹が救ってくれたものです。これら全て、妹が見つかったら、全部妹にあげます!」
木村奥様は目が赤くなり、すぐに頷いた。「ええ。妹さんはあなたを責めたりしないわ……」