木村旭は眉をひそめ、契約書の甲方企業名を見て、自分が見間違えたのではないかと思った。
目をこすって、もう一度見直した。
理屈では研究所から薬品を購入する際、木村グループが常に甲方のはずなのに、今この瞬間、相手の契約書では甲方が木村家ではなく——
光盛バイオ製薬株式会社となっていた。
この名前は、少し聞き慣れない。
でも何となく見覚えがある、どこかで見たことがあるような気がする。
木村旭は眉をひそめながらしばらく考えたが、どこで見たのか思い出せず、結局栗原愛南に向かって言った。「愛南、私たちが買い手で、あなたたちが売り手なんだから、当然私たちが甲方のはずだ。」
しかし栗原愛南は答えた。「申し訳ありませんが、私たちの医薬研究所は対外的な薬品販売において、常に甲方となっています。」