木村旭は眉をひそめ、契約書の甲方企業名を見て、自分が見間違えたのではないかと思った。
目をこすって、もう一度見直した。
理屈では研究所から薬品を購入する際、木村グループが常に甲方のはずなのに、今この瞬間、相手の契約書では甲方が木村家ではなく——
光盛バイオ製薬株式会社となっていた。
この名前は、少し聞き慣れない。
でも何となく見覚えがある、どこかで見たことがあるような気がする。
木村旭は眉をひそめながらしばらく考えたが、どこで見たのか思い出せず、結局栗原愛南に向かって言った。「愛南、私たちが買い手で、あなたたちが売り手なんだから、当然私たちが甲方のはずだ。」
しかし栗原愛南は答えた。「申し訳ありませんが、私たちの医薬研究所は対外的な薬品販売において、常に甲方となっています。」
木村旭が何か言おうとした瞬間、木村奥様に叱られた。「旭、栗原お嬢様に無礼な態度を取ってはいけません!」
木村旭は口をとがらせ、顔を背けて「ふん」と鼻を鳴らした。
栗原愛南は目的を達成し、しかも木村知念は既に命の危機を脱していて、いつ目覚めるかは時間の問題だった。
彼女はもうここで彼らと一緒に待つ必要はないと判断し、木村雅に挨拶をしてから病院を出た。
彼女が去るや否や、木村旭は我慢できずに木村奥様に言った。「母さん!彼女は本当にひどすぎます!京都の製薬会社の中で、ノラ研究所以外に、私たちの前で甲方になれる会社なんてありませんよ!」
木村奥様は彼を睨みつけた。「あなたの妹の命を救ってくれた恩を忘れたの?」
木村旭は黙り込んだ。
しばらくして、しぶしぶと目を伏せ、「明日にでもこの契約書に印鑑を押して、彼女に送ります」と言った。
「そうしなさい。」
木村奥様は一言答えた後、また病室の方を見つめ続けた。
今はこういった提携のことなど全く気にならず、ただ娘が早く目を覚ましてくれることだけを願っていた。
木村奥様の視線に気づいた木村旭も、思わずICUの病室を見つめた。
彼はそのドアを見つめながら、表情が徐々に落ち込み、途方に暮れ、最後には戸惑いと茫然自失の表情を浮かべた。
もちろん、妹が今日このような状態になったのは、木村旭だけの責任ではないことは分かっていた。
自分にも大きな過ちがあったのだ!