栗原愛南が森川おばあ様に挨拶しようとした時、電話から突然ツーツーという音が聞こえてきた。
彼女は一瞬止まり、森川おばあ様が電話を切ってしまったことに気づいた。
栗原愛南:「……」
森川北翔は苦笑いを浮かべた。「おばあ様はあなたしか孫の嫁として認めないからね、仕方ないよ」
栗原愛南は首を振った。
森川北翔も電話をかけ直す気配はなかった。
電話でこのような話をするのはリスクが高すぎる。もし誰かの携帯が監視されていたら、栗原愛南の正体がばれてしまう。
彼女は今のところ、姉としての立場で母親を救おうとしている。
森川北翔はもちろん外で彼女の正体を明かすようなことはしない。
栗原愛南が口を開いた。「今度おばあ様に会いに行きましょう」
「今度じゃなくてもいいよ」森川北翔は目を伏せた。「数日後に森川家でパーティーがある。京都に来て初めての晩餐会だから、一種のお披露目みたいなものだ。森川家はかなり重要視していて、各名門にすでに招待状を送っている。その時、私の婚約者として君も出席しなければならない」