木村旭は信じられない様子で栗原愛南を見つめ、電話の相手に尋ねた。「何だって?」
「木村様、私たちはここでノラ研究所との提携のために必死に頑張ってきたんですよ。そちらがノラ研究所と提携できたなんて、なぜ早く教えてくれなかったんですか?それに、この金額ですが...月額わずか5000万の枠なんて。発注元に、毎月もう少し増やせないか聞いていただけませんか?価格は相談次第ですし、現在の契約書の単価も少し安すぎるように思うんですが...木村様、ノラ研究所のどなたと交渉なさったんですか?こんな好条件でこの注文を獲得できるなんて!」
法務部長の言葉に、木村旭は夢を見ているような気分になった。
彼は一瞬呆然として、続けて言った。「いや、何のノラ研究所?こっちは全然何の話かわからないんだけど...つまり、私たちと契約を結んだ発注元の会社がノラ研究所だっていうの?何か勘違いしてないか?」