橋本南の言葉に、栗原光雄は少し驚いた。
眉をひそめて彼女を見つめ、「何を言っているんだ?」と尋ねた。
八木珊夏も彼女を見つめ、意味が分からない様子だった。
あの時、栗原井池を救助した時、実は八木珊夏はただの通りすがりで、栗原井池が地面に倒れているのを見かけ、そばには燃えている車があった。
周りの通行人は、ある少女が命がけで人を救出したと話していた。
彼女はその時、お金持ちの二代目である栗原光雄に目をつけていたが、栗原光雄は彼女にほとんど関心を示さなかった。そこで、これは良いチャンスだと即座に気付いた。
そこで八木珊夏は駆け寄り、栗原光雄のそばで見守っていた。
案の定、栗原光雄が目を覚ました後、八木珊夏が尋ねてみると、彼は自分を救った人が誰なのか全く知らなかったので、ずっとそのままにしていた。